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ひとりごと ~障害・福祉・医療・子育てを考える~

発達障害の子を持つ親として、また医療・福祉・介護にかかわる仕事を 通 して感じたことをつづるブログです.

特別支援教育の本質(2)

増やされる障害児増やされる障害児
(2004/09/09)
宮崎 隆太郎

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(本文より)

●特別な教育的ニーズとセンター化
 わが国では、このことばは文科省系御用学者がはじめに使いました。彼らは言いました。
 「ただ普通学級の中に障害児を入れておけばよいという考えではなく、その障害児の教育的ニーズに合わせたきめ細かい教育の保障が大事なのだ」と。
 それに対して私は、「普通学級の中にただ入れておけばよいなどとは考えていない。しかし、あなたたちの言う『教育的ニーズ』というのは、障害児たちのさまざまな思いや願い、豊かな人間関係への願望等を受け止めようというのではなく、障害児とはこんな程度のものだという決めつけに基づいた、狭い意味での教育や訓練、治療、そして生活の在り方を指しているのは明らかだ。本当に彼らの『ニーズ』を受け止める気があるのなら、地域に生きるひとりの子どもとしての彼らの目の前に、さまざまな選択肢を用意し、彼らの自由意思で自分の生き方、学び方を選ばせるところからはじめなければならないだろう。昨今の障害児教育をめぐる論議は、『基礎学力や発達の保障』か、『健常児のなかま集団』か、どちらが大事かという『あれかこれか』の論議に終始している。本当に大事なことは、『基礎学力』も、『なかま集団』も含めてほかにもいろいろある。『あれかこれか』でなく、『あれもこれも』の内容を豊かにイメージしてから、はじめて『ニーズ』ということばを使うべきだ」と反論し続けてきたのです。
 私は「障害」についての理解や知識、教育的技術等の重要性は充分に認識しています。そのための研鑽や工夫、教材作りにもかなり力を注いできたつもりです。しかし、障害児とつきあう時になによりも大事なことは、専門的知識や技術以前に、障害児を「ひとりの子ども」として見る目であり、「その子の生きる日常生活の中で『障害』の問題を考える」という姿勢なのです。その意味では、両親、きょうだい、担任、周辺の子どもの感性と提案がいちばん説得力を持つことになります。そのことを抜きにして、障害のことしか分かっていない専門家が主導権を持つべきではないというのが、私の反論でした。

●より重度な障害者にされないために
 昨今の養護学校高等部から作業所、施設へと道を敷かれてしまっている障害者たちは、「ノーマライゼーション」や「地域で」「自立」ということばに囲まれながら、その実「障害者の世界」における住人にされていっているのです。障害者として育てられ、障害者の中で働く。より障害者にされていく生活と言えないでしょうか。その終点が障害者ばかりの共同生活、「グループホーム」に落ち着きかねないのです。
 たしかに、以前のように、隔離された収容施設で生涯を送るという実態は減じてきています。しかし、街の中にいながらも、障害者がより障害者としてのみ生きさせられ、より重度な状態に追い込まれていっているのもまた事実です。
 日本の、とりわけ知的障害者のための福祉は、「我も彼もただひとつの道」しか認められていません。無意識にしろ、学者・研究者たちは、むしろ善意からその道こそ障害者のしあわせにつながると信じているフシがあります。障害者本人の思いや生活を、私たち健常者の思いや生活に重ねあわせてものを考えようとしないままに、政策や制度を確立しようとするからこのようなことになるのです。
 教員や指導員の障害者を見る目は、「この子らはこんな程度のものだ」という先入観に支配されていて、総じて能力的にはきわめて低いレベルでの主観的判定がなされていました。
 実際、障害者ばかりの集団では、障害者自身が規範や基準にするのはすべて障害者の言動です。すると、障害者相互間においても、また職員が障害者を見る目も、「これでいいのだ」「こんな程度のものか」という認識しか育ちません。結局はずるずると障害者特有の言動や生活スタイルが身についていくのです。周囲に「見本」となるべき一般健常者の行動規範がないものだから、お互いがお互いを低地にずるずると引きずり込むような状態になってしまいます。そこで、「障害者特有の世界」が成立してしまうというわけです。
 私が、「障害者がより障害者としての生活を強いられる」とか、「より重度の障害者にされていく」というのはこういう意味です。いまも多くの養護学校や「施設」を訪れた時に、しばしばこのように感じさせられています。
 将来像のイメージを豊かに思い描いていくためには、関係者や親たちが、まずは「常識」となっている障害者像や「ただひとつの道」像を打破するところからしかはじまりません。
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Author:TTmama
医療・福祉・介護分野で仕事をしてきました。息子が発達障害をもっています。仕事や子育てを通して感じたことを個人の見解として綴っています。

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