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ひとりごと ~障害・福祉・医療・子育てを考える~

発達障害の子を持つ親として、また医療・福祉・介護にかかわる仕事を 通 して感じたことをつづるブログです.

その瞬間の言葉が子どもを変える

その瞬間(とき)の言葉が子どもを変えるその瞬間(とき)の言葉が子どもを変える
(2001/11)
富田 富士也

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(本文より)
 
 スローペースなわが子にあきれてしびれをきらして、大声を出してしまうのも、考えてみれば「子どものため」ではなく、「親のため」ではないでしょうか。
 なぜなら、子どもの前途が親の前途になるからです。お母さんには子どもの“不安材料”を見たくはないし、早めにつぶしておきたいという思いがあるのではないでしょうか。
 大人も子どももみんな、今持ち合わせている知恵と体力と精神と相談しながらこの瞬間を生きています。だから生きていることは、ただそれだけで尊いことです。

 「あなたのためを思って叱っているのよ」と子どもに言うのはかなり眉つばものです。親の不安を打ち消すために子どもを怒鳴っていたりするからです。でも不思議なことに、わが子を否定することは親自身を否定することだと気づくものです。そして否定しても生きようとしてくれているわが子を見て、親は自分の無力さを受け入れ、親であることから逃げないことを自覚するのです。

 いくらカウンセリングや心理学や教育の本を読んでも、すべての悩みが解決できるわけではありません。そして人をそうたやすく操られるものでもありません。
 自分の人生の主人公が自分である以上、とどのつまりは自分の五感と経験に頼るしかありません。たとえば「胸がキュンとしたこと」、それがあなたにとっての真実なのです。そこから関係を始めていけばいいのです。善し悪しの選択の責任は主人公である自分が背負うしかないのですから。知識を得たり本に学ぶことを軽視するつもりはありませんが、人間関係や子育てにマニュアルはありませんよね。

 
 青年期になった子どもが、「お母さんが悪いんだ」「お父さんは全然わかっていない」と親を責める場面によく出くわします。でもその多くは、「今がよければみんないい」「今が悪ければすべて悪い」という考えからきているのです。
 たとえば、過去にどんなひどいことをされても、現状がよければ、「昔はよく殴られたけどさ」という思い出話ですんでしまいます。でも、過去にすばらしい親子関係があったとしても、今が悪ければ、「自分の人生を奪ったのは親だ」と恨み節になってしまいます。悲しいかな、そういうものなんですね。
 親としては肩を落としたくもなりますが、でもここで言いたいのは、今がいいか悪いかを決める要素、きっかけは家とは別のところで起こっていることが多いということです。
 子どもの悩みや挫折は、学校だったり社会だったり、親以外の人間関係のなかで生じます。そんなとき、子どもはどうしようもない自分と出会い、現実を乗り越えていかなければいけない、その痛み、惨めさ、悲しさを味わいます。だからひとつの逃げ場として、外で責められている分、責めないで受け止めてくれる、肯定してくれる、無条件で共感してくれる場をほしがります。その逃げ場が親なんです。
 
 ところが、子どもの不安とつきあっていこうとすると、親は自分の無力感と出会います。子どもの不安はその子自身が背負うわけで、親が背負うわけでも肩代りしてあげられるものでもありません。そのときわが子を支えることができない現実を突きつけられ、「なんて無力な親なんだろう」と己を思い知るわけです。そこで本当だったら、もう少し無力な自分と向き合っていればいいのですが、無力な自分と向き合うのはつらいことです。それでどうするかというと、
 「頑張れば何とかなるわよ」と子どもを励ますわけです。
 努力して報われているうちは励ましも有効ですが、頑張っても報われないとき、それは応援でも勇気づけでもありません。
 「おまえのことなんか抱えきれないわよ」という関係断絶になってしまうのです。頑張っても報われないとき、「励ます」ということは、頼みの親が子どもの苦しみからひとり逃げ去っていくことなんです。だから、子どもが報われなさに痛手を受けているとき、励ましてはいけません。
 子どもが苦しいときは、「なんで私はいたらない親なんだろう。不甲斐ない親なんだろう」と親も一緒に苦しんでいいのです。そういう自分であることと向き合い、親としての無力感から逃げない力が問われます。
 逃げないということは、本人が努力して報われないつらさを味わっているとき、「頑張れ」という励ましを徹底して言わないことなのです。その言えないつらさが、子どものつらさに近づく手がかりになるのです。

(教育カウンセラー)

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Author:TTmama
医療・福祉・介護分野で仕事をしてきました。息子が発達障害をもっています。仕事や子育てを通して感じたことを個人の見解として綴っています。

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