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ひとりごと ~障害・福祉・医療・子育てを考える~

発達障害の子を持つ親として、また医療・福祉・介護にかかわる仕事を 通 して感じたことをつづるブログです.

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増やされる「発達障害」

  
季刊福祉労働 140 特集:増やされる「発達障害」季刊福祉労働 140 特集:増やされる「発達障害」
(2013/09)
不明

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 「発達障害が増えている」という。発達障害のある子どもたちの特徴を理解し、どう対応するかの本が書店の特別支援教育の棚を埋め尽くし、当事者の体験談も数多く出版されている。学校以外でも、職場、医療現場、就労支援の場で「大人の発達障害が増えている」と言われている。
 個性を重んじるよりは同調性、和を重視する日本社会においては、集団からちょっとはずれた、周囲から見て困った要素をもつ人は昔から浮きやすい存在であった。しかし、それは直しようのない癖のようなものとして、ある一定幅までは集団のなかに取り込んで許容してきた。その許容の幅は、情報の過密化や競争主義・効率化の激化によって、一聞いたら十察する気働きができなければ生き残れない社会の中にあってますます狭まり、浮きやすい存在は、排除されやすい存在になりつつある。
 
 障害に限らずマイノリティの当事者コミュニティでどこでも繰り返されていることだが、社会の周辺に追いやられていたマイノリティ当事者たちが、マジョリティの同化圧力から自立して自らのコミュニティをつくり上げたとたん、今度はそのマイノリティ当事者が、コミュニティ内部への同化圧力を強めていくということがある。
 「アスペルガー症候群」「自閉症スペクトラム」の診断名がついてしまえば、今度は矮小化されたレッテルに移り変わっていく。外界の捉えにくさや人との関係の困難など、自分の中でくすぶっていた感覚が、「やはりあなたはアスペだね」の一言で括られてしまう。

 発達障害はコミュニケーション、社会性の障害だと言われるが、むしろ身体特性の問題であり、環境によって抱える困りごとは違ってくる。

 
 発達障害は、秀でた能力があるが、対人関係が下手でコミュニケーション能力がないとされている。つまり高い能力があっても、コミュニケーション能力がないと発達障害と呼ばれるわけだ。一昔前なら「人づきあいが悪い奴」「ぶっきらぼうな奴」「回りくどい奴」と言いながら、それなりに相手を理解して付き合っていた。最近では相手を理解しようとせずに、「コミ障(コミュニケーション障害)」という「障害」だから仕方がないとの文脈で、相手との関係を切る傾向がある。そこでは「コミ障」と相手を規定することで、コミュニケーションが取れないのは相手の責任であるとの考え方になる。
 現代社会においては、責任の所在を明確にすることが求められている。私はこれだけ丁寧に説明しました。だから、「わからない」のはあなたの責任です。このときに障害のために「わからない」のであれば、私の説明の仕方が避難されることはない。相手に「障害」があるとすることで、私の行為は正当化される。



 また「学級崩壊」という言葉が流行り、教員個々の学級運営能力が校長から問われていた。落ち着きのない子がいることで学級運営が損なわれると、教員の評価が下がることになる。しかし、その落ち着きのない子が「発達障害児」であれば、「病気」の子どもを抱えながらも、大変な学級運営をしているとのプラスの評価に転換していく。こうした背景もあり、教員からみて「落ち着きがない」「すぐに怒り出す」「急に泣き出したりする」といった傾向が少しでもある子どもたちに対して、「発達障害」の診断が下されれば、負の評価からプラスの評価に変わるだけでなく、加配の職員がつくというメリットが生じていた。このために発達障害の診断が必要となったわけである。

 
 保育園や幼稚園、学校で落ち着きがないと言われると心配になり、保健所に相談に行ったり、精神科を受診する。この時に行く先々で診断名が異なることも少なくない。いくつもの診断名をつけられた結果、療育センターにたどり着いた子もいた。インターネット等で専門知識を手軽に入手できるようになってから、子育ての環境も変化している。インターネットで調べて障害があると思うが、自分の考える診断名ではなかったと話して、自分が納得する診断名を求め外来に来る親もいた。
 このように、診断を求める親の場合は、目の前にいる子どもの「あるがままの姿」よりも育児書に書かれている「あるべき姿」に囚われた結果、自分の子どもの「あるがままの姿」が信じられなくなっている。日常生活で他の人とのちがいを感じていれば、その違いを明確にするために診断を求める気持ちもわからないではないが・・・。当事者も「あるがままの姿」を認められないために、診断名の枠の中での自分にすがろうとしているのではないだろうか。

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