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ひとりごと ~障害・福祉・医療・子育てを考える~

発達障害の子を持つ親として、また医療・福祉・介護にかかわる仕事を 通 して感じたことをつづるブログです.

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利用者(患者)の自立支援を考える

 今、医療の分野では在院日数の短縮に伴い、リハビリテーションのゴール設定も個人差があるのに、最初に期間ありきで回復途上でも退院を余儀なくされてしまう現実があります。
 数ヶ月も療養できていた時代のリハビリテーションでは、急性期から回復期まで経過を追うことができたし、家族指導も行って自宅に送り出したものです。
 医療情勢や家族状況も変わり、自宅退院ができにくい現実も多くなりました。日中独居や高齢者だけの世帯、あるいは独居世帯では介助してくれる家族がいないと在宅では看れないとなり、入院時から施設入所を希望する家族も増えました。また、「治るまで入院させて欲しい」「自分のことが一人でできなければ帰ってきても困る」と退院を渋る家族も。
 そこで、すぐ介護保険を申請させ、入院時から退院時を想定した段取りをケースワーカーは計画するのですが、中には病院側の固定観念(これまでの経験上の事例)だけで判断し、「自宅で○○まではできないだろうから、ベッドでのオムツで生活だ」「自宅入浴はやめてデイサービスで入浴」として、介助中心の支援計画を病院側(というかケースワーカー個人の見解として)が決め付けて送り出している場合が多いような気がしています。
 
 また入院中の患者さんへの評価ってけっこう過小評価されているなあという思いもあります。認知症がないのに本人にとっては理由のある行動でも認知症患者として扱われたり、「この人はここまでの機能しか獲得できない(だろう)」と専門職のほうで決め付けたり・・・。(一人の患者さんを中長期的に経過フォローできない今の医療情勢よるところも大きいのかもしれませんが。)
 急性期病院に勤務するセラピストはせいぜい2~3週間(ないし1ヶ月前後)くらいしか関われないし、この先どんな風になって在宅生活になるのかなどというイメージがわきにくいという事情もあるでしょう。その後の回復期も生活期もその時期のみのかかわりになるので、一人の患者さんと経過を追って関われないからです。
 たとえば、脊髄(頸髄)損傷などの患者さんは発症から1~2年たった後でも機能やADLを獲得するようなことも間々あるのですが、たった1~2ヶ月程度の入院だけで「この人はここまでがゴールだから」といって、全介助レベルでの介護支援計画を作って退院させ、その後のリハ環境がなければ、一生寝たきり生活を余儀なくされてしまうんじゃないかとすら危惧しています。そこには障害を追っても社会参加」したり、ADLの拡大に向けてがんばろうする患者(利用者)に対しては、「安全に生活すること」を優先するケアマネジャーたちが担当すると抑制をかけるように働いてしまいます。

 介護保険がなかった時代のほうがむしろ、障がいをおっても自立して生活したいという思いは患者さん自身のほうが強かったです。特に年齢的に若い人たちはむしろ価値の変容のもと新たな自己像を作り上げようとして同じ障害を持つ仲間たちを求めて自らも前向きに生きようとしていた人が多かったような気がします。
 しかし、介護保険が導入されて以降は、若年障がい者であっても(退院させるためには)すべからく介護保険への申請を促され、行きたくもないような通所サービスを勧められ、そういう場所以外での活動をしたくても情報がなく、ますます生活空間の幅が狭められていってしまっています。
 復職への希望があっても、受け入れる職場環境がそれを許さなくなってきており(障害に見合った勤務体系や、配置転換などへの非協力さ)、結果退職を余儀なくされていきます。
 
 ケアマネジャーたちも、早く追い出したい病院側の意向を汲み取ることのほうが優先になり、とにかくてっとり早くできるのはベッドとポータブル・車椅子の準備など、福祉用具○点セットを用意し、入浴は通所サービスで、介助はヘルパーでという病院側の意向どおりに支援計画をする傾向があります。
 退院時はまだ在宅生活へのイメージが家族・本人・マネジャーにもよくわからないため、とりあえずは最初は「安全」に「転倒しない」ようにと抑制的に働くケアプランになりがちです。
 しかし、実際生活してみると、患者さんの自然回復の部分もあったりすると、自宅で患者さんが徐々に機能を回復してもケアマネジャー自身再アセスメントすることなく、身体機能や介護度がよくなっても自宅入浴という考えや発想はなく、延々とデイでの入浴を続けるとか、ヘルパーよるに買い物・掃除・洗濯・食事作りの援助のプランを続ける方もいます。本人も家族も「してもらう」サービスに慣れてしまい、認定を受けている以上、サービスを利用しなくちゃ損という感覚になってしまうのでしょう。
 ケアマネジャーだってサービスを利用させてケアプラン報酬が事業所にはいるわけですから、よくなって何もサービスを使わないとなれば、ただ働きになるので、ひとつでも二つでもとにかくサービス利用は続けて欲しいというのがホンネでもありましょう。 こうして、利用者・ケアマネジャー・サービス事業所双方がいつまでも延々とサービスが切れないようなシステムが生まれてしまいます。
 また認定調査を何度も受けている利用者は、こういう答え方をしたら、介護度が下がるということも、うすうすわかってくるので、訪問調査員にもオオバーにできないことをアピールする知恵を身につけている方もいます。
 予防給付が創設されたとき、要支援者への予防サービスでは、デイケアでいくらリハビリの効果をあげて、次回認定で「非該当」になっても、通所に通えなくなることを不満として再申請をしたりといった例もあります。(利用者にとってリハビリでよくなって自立することは、通所に行けなくなりせっかくできた仲間と会えなくなるというマイナスの状況を意味してしまうのです)
 
 介護報酬が増大し、財政負担が増えるというのは制度発足時にわかっていたことでしょう。
 しかし、この制度発足当初はもちろん自立支援の理念は法律にうたわれているにもかかわらず、とにかく制度を浸透させることのみが優先され、「利用者を増やす」ことにあったことは自明です。要支援者でも電動ベッドをどんどん貸し出し、軽度認定者にも家事援助のヘルパーを勧め、自宅入浴に不安があるといえば、家族も介助してまで自宅で入浴させることをいやがり、介護保険でデイサービスへ行ってもらえば楽だと。そしていつのまにか、保険料を払っているんだからサービスを利用しないと損とばかりに、掘り起こしを進めるサービス事業所やケアマネジャーも増えました。

 いまさらながら自立支援型サービスの導入なんて、介護保険制度発足から理念として言われ続けてきているのにも関わらず、何で今頃になってまた「地域包括ケア」だの「地域ケア会議」だので、リハビリテーションの視点で専門職を会議に参加させ、助言指導させたがるのでしょうか。そんなことは何も大掛かりな会議を開催してまでするものでもないでしょう。現にこうやって一人の患者さんを通して病院から自宅に帰るに、リハ職種とケアマネジャーも直接患者さんを目の前にして(患者さんの訓練場面を見学するなどして)直接伝授しながら、顔を合わせながら事例を共有していけばいいだけの話です。
 病院によって異なるとは思いますが、わが病院に限っていえば、退院時カンファレンスにリハ職種が参加することはほとんどありませんし、ケースワーカーはそこまで予後予測をもって退院時の生活をイメージしているわけではありません。
 結果、ケアマネジャーたちは日ごろ顔を合わせているケースワーカーの意見を優先的に取り上げそのまま支援計画に盛り込みます。
 あるケアマネ事業所の管理者が嘆いていました。「退院当初は安全・安心の確保も必要だと思うから、病院側のいうように介護中心のケアプランでも仕方ないのかもしれなkが、だんだん利用者もできることが増えていけば、そのつどケアプランを見直しヘルパーの関わる回数を少なくしたり、自立支援に向けたプランニングを模索することが必要なんじゃないかということを同僚たちに助言しても、”だって病院の○○さん(ケースワーカー)がそう言うんだから”といっプランを見直そうともしない。○○さんの意見が絶対なのよね。これでも主任ケアマネジャーとして研修もうけているのよ。」と言うではありませんか。

 そして今、国の介護保険行政の中心的な柱が「地域包括ケア」「地域ケア会議」の構築だという。その目的のために国の意向に合う有識者や、モデル事業などで効果をあげた自治体の関係者および成果をあげたサービス事業者・専門家が各地方自治体が主催する研修会に講師として引っ張りだこです。
 いつも国が考える介護保険制度改正の際には、その時々のトピックとなるような事業や施策に合致した御用学者や御用専門職が取り上げられます。そして以前のトピックとなった事業はいつのまにか葬られてしまうのです。(H18年に打ち出された”予防重視型システム”で盛んだった介護予防事業では運動器の通所事業でパワーリハがをはじめとする各種運動事業が推奨され、通所事業所でも大型な器機を導入しましたが、今ではとっくにすたれてしまいましたし・・)
  
 理念(自立支援)と現実(サービスを利用したがる高齢者と利用させたがる業界)のギャップが続く限り、いくら目先でころころスローガンを変えても根本は変わらないと思います。
 いっそのこと、サービス利用して介護度が下がった場合には報酬を高くするとか、改善プランを実施し、成果をあげたケママネ事業所やサービス事業所に加算を多くつけるなどしたほうがよほどモチベーションがあがるのではないでしょうか。

 
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医療・福祉・介護分野で仕事をしてきました。息子が発達障害をもっています。仕事や子育てを通して感じたことを個人の見解として綴っています。

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