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ひとりごと ~障害・福祉・医療・子育てを考える~

発達障害の子を持つ親として、また医療・福祉・介護にかかわる仕事を 通 して感じたことをつづるブログです.

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孫の面倒をみる高齢者

 90歳の高齢者女性(Aさん)を今リハビリで担当しています。転倒し大腿骨頚部骨折で入院中です。
 手術したところはもう痛みもなく、順調ならもう杖歩行くらいはできてもいい時期ですが、もともと悪かった膝(変形性膝関節症)の痛みの方が回復を遅らせている要因にもなり、歩行器を使っての歩行も長く歩けません。

 自宅には20代(23歳と20歳の孫息子、21歳の孫娘さん)の孫たちとの4人暮らし。夫は20数年前に他界、息子夫婦と同居していましたが、息子さんも4年前にがんで他界、孫たちの母親である嫁も3年前に他界しました。
 嫁さんは家事や仕事はできず、Aさんは自分が外に出て働き、子育てを任せてきたそうです。
 嫁さんの実家にも「何もさせてこなかったのか?」と言いにいたこともあたそうですが、実家の母親も家事はしない人だったそうです。「そっち(嫁ぎ先)で教えてくれ」と逆に頼まれ、ここまできたのだと・・。
 近所の人たちは知っていたようですが、嫁は毎日パチンコ屋に入り浸り、孫さんたちが大きくなってからは一緒に連れ出していたようです。糖尿病が悪化して亡くなったようですが、亡くなるまで医者にも罹っていなくてわかったときは手遅れだったと。亡くなってから1,000万円くらいのギャンブル借金が残り、それもAさんが返したということでした。

 3人の孫のうち、真ん中の孫娘は介護の専門学校を卒業後今年ある施設の介護員として働いていますが、自分の生活で精一杯のようで病院にくる余裕がないようです。
 そのかわり二人の孫息子たちは毎日夕方になると決まった時間に面会にやってきます。面会にやってくる目的は、Aさんから日々の生活費をもらうためもあるようです。以前まとめて1~2万円くらいを渡したら、一日で全部使い切ってしまったようで、毎日一日分ずつ渡すことにしたそうです。
 幸い兄は車を運転できるので弟と二人で毎日やってきてはAさんの指示を受けていろいろ必要なものを買ってきてくれたりもしています。
 Aさんはリハビリのたびに、「私がいなくてあの子達は大丈夫か?」「自分がこれまで何でも家事一切をしてきた(90近くまで)から何にも家事を教えてこなかったのがわるかったのだ」「はやく帰ってご飯炊きくらいできないとあの子たちが困るだろう」と、たえず口に出ることと言えば孫たちのこと。
 親戚も心配して何か仕事をさせようと農作業も手伝わせても長続きしないのだとか。弟の方はいったん県外で就労したけど、交通事故が起因してあまり働けなくなったようで戻ってきたようです。
 面会に来る孫たちにも「○○しろよ」「~~しないようにしろよ」といつも過干渉に近い言動を繰り返しています。
 役所からは『おばあちゃんの年金で二人の(無職の)孫たちの面倒を見るのはたいへんだから生活保護でもうけたらどうか?」とも言われているが、そういうお世話にはなりたくない。自分が生きているうちは頑張るといって断っていると。でも、自分が死んだら居間まで自分の年金で生活していたのができなると、孫たちはどうやって生活していったらいいのだという不安。
 
 もともとご自分も苦労して来た人のようで、特に息子夫婦がなくなってからは自分が一家の大黒柱のごとく孫たちの世話も一手に引き受けてきた人なだけに、勝気で気骨のある人です。
 孫たちを自立させたいと口ではなんやかやとはっぱをかけて孫たちの奮起を期待ているのでしょうが、Aさんの言葉にも孫たちの返事は「う~ん、う~ん」と空返事をするだけで本当に耳に入っているのかは定かではありません。
 病棟の看護師さんや同室の患者さん、それにリハビリを担当する私たちも、毎日Aさんから同じ心配を聞かされ、夕方になると判で押したようにやってくる孫息子たちを目にし、Aさんが発する会話を聞きたいと思わなくても聞いてしまうのです。
 看護師さんたちも「今こうしてAさんがいなくても何とかやれているじゃないですか?そこから少しずつ孫たちも考えていくんじゃないですか?」と前向きなアドバイスをしても「あの子たちは私がいなければ何もできないんだから、私が早く帰らないと・・・」という思いは相変わらず強いものがあります。

 これまでの家庭環境を思えば、Aさんは孫たちにとっての父親代わり、母親代わりを一手に引き受けざるをえなかったのだと思います。Aさんの性格上、嫁にもあれやこれやと自分の思いを押し付けてきたのかもしれません。勝気で言うべきことは黙っていないようなところもありますから。
 孫たちの子育てにも時々口を挟んできたのかもしれませんが、嫁がまったく家事をやらず、母親としても子育て上手ではなかったこともあり、そういう孫たちに成長したということもどこか必然の結果なのかもしれません。
 だから、Aさんが自分の老い先は長くない今になって、自分が何でも家のことをやってしまってきて、孫たちの生活能力を鍛えてこなかったことへの反省がいつも頭の中にあり、何かとこれからのことを示唆しても、孫たちの反応も危機感がなく、考えを改めて自立に向けた生活をしていこうという気配もないことはAさん自身もどこかでわかっているのでしょう。
 今の機能状況では、膝の問題も大きく、以前のように自分のことすらままならなくなりそうな予後です。当然、本来ならAさん自身に介護サービスが必要な年齢なのですが、お金の問題もあり、なるべく金をかけないでせいかつしたい。そのためには自分がご飯を作れるくらいにならないとという考えに至っています。
 退院後自宅には帰ることになりそうですが、若い孫さんたちとの生活はAさんも望んでいることではありますが、ここが一つのきっかけとしてAさんが逆に孫たちをうまく手のひらにのせてして欲しいことをうまく頼めて介護生活、生活能力を引き出せるようになってほしいなあと希望しています。

 余談ですがこういう事例(高齢者の年金をあてにして生活する無職の孫息子たち)という決め付けた見方をどうしても周囲はしてしまいがちですが、孫息子たちにも孫息子たちのライフストーリーがあり、家庭背景を無視した指導的なことは避けてほしいと思います。
 病院での様子をみていると、孫さんたちもAさんを慕って足りない買い物などをしてくれるし、何よりAさん自身も孫の存在が生きがいになっているのです。
 「自分が早く良くなって自分が生きて元気なうちは孫の面倒を見たい」という気持ちもわかるだけに、あまり孫さんたちを指導してなんとかさせなければともあまり考えてはいないのですが、Aさんがこれまでのようにはできない体であり、介護負担も生じていくことはどこかで助言・指導は必要になってくるでしょう。
 自宅に帰ったときにAさんのことだからできなくても頑張ってやってしまう危惧もあります。介護負担が増えれば当然孫たちの生活上の負担も増え、結果的にストレスや介護技術の未熟さから「虐待」めいたことをやってしまわないとも限りません。
 そんなリスクも頭の片隅におきながら、このケースを担当しています。
 
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医療・福祉・介護分野で仕事をしてきました。息子が発達障害をもっています。仕事や子育てを通して感じたことを個人の見解として綴っています。

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